ダンスミュージックでのドラムは、その他のジャンルとは役割が少し異なります。
そのため、アップテンポなファンクでは、ドラムソロでも単純なリズムパターンを繰り返すことがあります。
またミニマルなテクノミュージックでは、単調なフレーズを繰り返すことでフロアのヴァイブスを高めます。
これらに共通するのは、演奏者が主役ではなく、観客が主役だという考え方です。
音楽が続いている間は、決して観客のステップを止めてはいけません。
派手なフィルインが成功しても、ヴァイブスが途切れてしまうようであれば何の意味もありません。
演奏者が主役の考え方でダンスミュージックを演奏しても、上っ面だけの演奏になり、カッコ良くありません。
どうすればカッコ良くなるのか、自分なりの方法論を書いていきます。
どんな音楽を想定しているのか
そもそもダンスミュージックって大雑把な括りなので、色んな楽曲が含まれます。
その中で、この記事では「反復するリズムによるトリップ感」を重要視する音楽を対象にします。
こんな感じの音楽が対象です。
ダンスミュージックでも、こんな感じの音楽は対象外です。
EDMは構成がはっきりしている、違うBPMの曲をつないでもOK、などの点でロックとの共通点が多いです。
DJの立ち位置も、昔で言うロックスターの立ち位置と似ています。
良い悪いでは無く、今回の記事ではそういう音楽は対象外です。
同じリズムパターンを繰り返す=簡単ではない
上で紹介した曲を聞くと、派手なフィルインやキメがほとんど無いことに気がつくと思います。
技術的には難しく無い演奏なので、何に気をつけて演奏をすれば良いかわからないかもしれません。
こういう音楽でドラマーは、ひたすらフロアのヴァイブスを上げ続ける必要があります。
バンドメンバーや観客のテンションを上げ、一体感を生み出す演奏を続けなければなりません。
具体的には、下記の動画で最初に踊っている人のような役割が求められます。
一人で踊り続けることで周りを盛り上げ、最終的に大きな熱狂を作り出しています。
この人のダンスを周りが見るのではなく、一緒に踊ったことが重要なポイントです。
仮にこの人が超絶技巧なダンスをしていたら、注目を浴びたかもしれませんが、熱狂は生まれなかったでしょう。
ダンスミュージックでのドラムも一緒です、凄い・凄く無いはどうでも良くて、一緒に騒げることが大切です。
演奏する上でのポイント
ダンスミュージックで高い技術力を求められることは少ないです。
それよりも重要な、演奏する上でのポイントを上げます。
躍動感のあるリズム
思わず踊り出したくなるような、躍動感のあるリズムを維持し続けることが大切です。
生演奏のダンスミュージックであれば、多少ハシるくらいでも問題無いと思います。
共演者や観客を、リズム的に前へ引っ張り続けましょう。
観客のステップを止めない
繰り返しになりますが、演奏者が主役ではなく、観客が主役だという考え方が大切です。
主役である観客がダンスしやすい演奏を心がけましょう。
リズムパターンの繰り返しに意味を持たせる
譜面上は同じでも、繰り返しに応じたニュアンスの変化をつけていきましょう。
ただし頭で考えてニュアンスを変えても、多くの場合上手くいきません。
リズムに入り込んでいく中で、体から自然と発生する変化であることが重要です。
具体的に、繰り返しにどのような意味を持たせるのかは、言葉で説明するのが難しいです。
まずはクラブやフェスで長時間踊り続けて、リズムに入り込む感覚を身につけるのが近道かもしれません。
※コロナ禍なのでなかなか行きにくいですが・・・。
そのような経験を経て、自分のリズムに夢中になることが出来れば、演奏の説得力が向上します。
最後に
ダンスミュージックにおけるドラムの演奏って、教則本などで詳しく記載されることが少ないと思います。
譜面上は単純に見えますが、非常に奥が深いので、困っている人の助けになればと思い、記事を書いて見ました。
冒頭に取り上げた「演奏者が主役ではなく、観客が主役だという考え方」は、ストーンローゼズの「これからはオーディエンス(が主役)の時代だ!」という主張に影響を受けています。
ストーンローゼズって、ボーカルは上手く無いし、繰り返しが多い構成で、特に技巧的でも無いのに、なんか良いんですよねー、思わず体が動いてしまいます。
いわゆるダンスミュージックとは少し違うかもしれませんが、ダンスミュージックに必要な要素が詰まったバンドです。
そんな彼らの演奏を紹介して、この記事を終えたいと思います。
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