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実用品としての文学、通勤時間の村上春樹 

最近、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』を通勤時間に読んでいます。
僕が初めて村上春樹を読んだのは14歳の時の『ダンス・ダンス・ダンス』で、その時も通学中に読んでいたので、22年経っても同じような読書習慣を続けています。
僕はこれまで体系的に読書をしたことが無く、また特定の作家や作品について自分なりの考察をしたこともないので、読書を趣味と公言することはありませんでした。
僕の小説への接し方は、例えばセロニアス・モンクを聞かないジャズ愛好家のようなもので、読みざわりの良い本を乱読しているだけです。
それでも読書習慣が続いているのは、僕の生活の中で、小説を読むという行為が実用品として必要なためです。

僕みたいに、読書を趣味と公言していないけれど、生活の中でなんとなく小説を読み続けている人って、結構多いんじゃないかと思います。
今回は、僕のなんとなくの読書遍歴を紹介します。

目次

特に読書習慣の無かった、小学生の頃まで

幼稚園や小学校の頃、熱心に読書をしていた覚えはありません。
図書館に寄ることはほとんどなく、休み時間は外で遊ぶことが多かったです。
でも新学期に新しい教科書が配られると、国語の教科書は初日に家で全部読んでいたので、文章を読むのは好きだったのだと思います。

この頃に印象深いのは、小学五年生の読書感想文の課題で読んだミヒャエル・エンデの『モモ』です。
読んだ後、興奮して眠れませんでした。
具体的な感想は忘れてしまいましたが、テンション高く感想を母親に話す自分の姿は、今でも思い出せます。

通学電車での読書習慣が始まった、中学生の頃

私立の中学校に通うことになったので、片道約1時間の電車通学が始まりました。
電車に乗っている間は退屈で、最初の頃は古本屋で買った安い漫画を読んでいたのですが、すぐに読み切ってしまいお小遣いが枯渇しました。
ここから、一冊で長い時間が潰せる、小説を読む習慣がスタートします。

あの頃は小説を読むことが大人びてカッコ良く思えたので、選ぶ本も、当時の自分なりにカッコつけていました。
例えばミステリーを読むのがカッコ良いと思い、綾辻行人の館シリーズを読んだりしましたが、さっぱりわかりませんでした。
完読しますが、内容が全然頭に入らないのです。
※これは綾辻行人への批判では無く、僕は聡明な中学生では無かった、と言うことを伝えたい文章です。

しかし通学時間は存在し続けるため、しっくりくる小説を探すために、色々な作家を読み漁りました。
そして14歳の頃に村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』に出会います。
細かい話の内容はよくわかりませんでしたが、ユニークな比喩表現や、どことなく空虚な雰囲気が気に入って、楽しく読むことができました。
この小説に出てくる「文化的雪かき」や「品の良いごみ箱」といった表現は、今でもお気に入りで、心の中でよく使っています。
(例えば仕事上で必然性のある雑務が発生した時に「◯◯的雪かきだ」とか思っています。)
ここでやっと、小説を読む楽しさを実感できました。

つまり、僕は小説を読むのが楽しいから小説を好きになった訳で無く、小説を読む必要があったので好きになれる小説を探したのです。
屈折した形ですが、とにかく、この頃に小説を読む習慣が生まれました。
この習慣は高校生・大学生時代にも続いていきます。

日常の空白を埋めるために小説を買うようになった、新社会人の頃

新卒で入った会社では、徒歩圏内に独身寮があったので、通勤時間に小説を読む習慣は無くなりました。
代わりに、休日にフラッと書店に寄って、有名な小説を買うことが増えました。
それは読書欲というより、何もない毎日に少しでも意味を持たせたいという思いからでした。

僕は高校時代にドラムやバンドを始め、大学生の頃は学業より音楽が中心の生活を送っていました。
社会人になってからもバンドは続けていましたが、自分の存在意義をぶつけるようなライブは減っていき、どこか冷めてしまっている自分がいました。
だからといって音楽以外に情熱をぶつけられるものが見つからず、毎日は無為に過ぎていきました。
例えばそんな気持ちで迎えた日曜日に、ヴィレッジヴァンガードでフィッツジェラルドの短編集でも買って、喫茶店でじっくり読んでいると、何かを積み上げたような気分になりました。
ヘミングウェイ・太宰治・夏目漱石、ライ麦畑・恐るべき子供達・なんとなくクリスタル、文脈も何もなく、文学に詳しくない自分でも知っている作家やタイトルを読んでは、その内容を忘れていきました。

他にもジュンク堂やヴィレッジヴァンガードで知らない本を表紙買いしたりしていました。
この頃に読んだ本は覚えていないものも多いです。

それは楽しい・楽しくないではなく、虚しさを埋めるために、当時の僕が切実に必要としていた行為でした。
この習慣は結婚するまで続きます。

ストレス解消のために小説を読むようになった、結婚生活以降

そうこうしている内に、縁あって妻と結婚し、子供も産まれました。
一時期は忙しさで本を読むことも減りましたが、最近はkindle oasisを導入して、再び通勤時間などに本を読む機会が増えました。
※kindle oasisほんとに便利です、電子書籍に抵抗の無い人は是非試して欲しいです。

結婚してからは、現実的な問題が色々増えたので実用書を読むことが多いですが、その合間に小説を読んでいます。
それは小説を読むことを通じたストレス解消行為で、好きな文章を読み続けることが目的となっています。
油断すると村上春樹ばかり読んでいます。

自分が文学好きかどうかはよくわかりませんが、時間があると文章を読みたい人であることは確かです。
その文章はツイッターでもnoteでも何でも良いのですが、洗練された飽きない長い文章が続くのが小説だから、小説を読むことが好きなんだと思います。
褒められた読書理由では無いかもしれませんが、現実的なニーズがあるので、今後もなんとなく小説を読み続けると思います。

最後に

会社の新入社員研修で、趣味は読書だと自己紹介している子がいました。
どんな本が好きなのか聞いてみたら、東京ウォーカー、と言っていました。
その答えを聞いて、何となく肩の力が抜けたのを覚えています。

読書とは本を読むことで、東京ウォーカーは本なので、その子は何も間違ったことを言っていません。
本人の中で完結している以上、周りがとやかく言うことではありません。
僕も自分なりの楽しみ方で、本と付き合っていきたいと思います。

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この記事を書いた人

名古屋市在住、30代後半のドラマーです。
高校生の頃にドラムを始め、就職して、結婚して、子供が生まれても、音楽への興味が尽きません。
最近はDAWでのトラック制作や、ブログの更新が主な趣味です。
コロナ禍が終わったら、仲間達とフェスにいきたいです。

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