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DTMに役立つ、AI(人工知能)を活用したドラムソフト

『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』 という本を読みました。
簡単に要約すると、AI(人工知能)や3Dプリンタなどの最新技術が、未来にどのような影響を与えるのか、様々な具体例と共に紹介されている本です。
僕はこの本を読むまで、食糧危機やエネルギー問題などで人類の未来に悲観的でしたが、技術の発展で解決できる可能性が様々な形で紹介されていたので、楽観的な気持ちになりました。
未来に楽観的になれた、という意味だと『FACTFULNESS』と似たような読後感でした。

この本を読んだ後、AI(人工知能)がドラムにどのような影響を与えるのかについて興味が沸いたので、色々と調べてみました。
まだまだ発展途上な分野ですが、可能性を感じるソフトもあったので、私が調べた結果を紹介します。

目次

AIドラマーの需要はあるのか?

そもそもAIドラマーの需要があるのかという論点がありますが、僕は需要があると考えます。

ドラムの歴史を振り返ると、安価で自己主張をしないドラムは一定の需要があります。
昔は職人気質なスタジオミュージシャンがそれを担当していました。
技術が発展してからは、打ち込みやリズムマシーンがその役割を担うようになりました。
今では、Logic proのDrummerはデモトラックには十分なクオリティになりました。
今後、他のパートに応じたリズムパターンを作成する実用的なAIドラマーが誕生したら、一気にシェアが広がると思います。

また打ち込みやリズムマシーンの発展がテクノなど新しいジャンルを作ったことを考えると、AIドラマーの発展が新しいジャンルを作る可能性もあります。
これらのことから、AIドラマーの需要は今後増加していくと思います。

使ったことがあるAIソフト

まずは、使ったことがあるAIソフトを紹介します。

Accusonus Rhythmiq
リズムトラックを、AIが周波数帯域ごとに3つのグループ(STEM)に分け、個別にビートの増減や逆再生を行うことでアレンジができるソフトです。
アレンジの度合いは人間が設定するのですが、アレンジの内容はAIが作成します。
ARRANGE(音数を増やす)・REVERSE(音色を逆再生する)・SILENCE(音数を減らす)の3つのパラメーターを変更し、それに応じたアレンジをAIがリアルタイムで実行します。

ARRANGEを強くすると、いかにも機械が作った、非人間的な音数の増え方をして面白いです。
逆に音数が多いリズムトラックを読み込ませ、SILENCEを強くすると、いい感じに音数を減らしてくれます。
REVERSEは上手くハマればカッコいいのですが、どの音色を逆再生させるかはAI次第なので、運の要素が大きいです。
これらを組み合わせた偶発性が面白くて、3つのパラメーターを適当に操作してるだけで時間が溶けていきます。
変則的な3バンドイコライザーのようにも使用することが可能で、ライブパフォーマンスで使用すると楽しそうです。

逆にあんまり良くない点としては・・・
リズムトラックの種類によっては、AIの分析が上手くいかないのか、音質が劣化してしまいます。
僕が使った感じだと、コンガなどパーカッションで上手くいかないことが多かったです。
原因はよく分かりません。
またAIがリズムトラックを3つのSTEMに分割する時も、上手く分割されないケースがありました。
3つのSTEMに直接ファイルをインポートすることもできるので、リズムパターンをパラアウト出来るなら、それぞれのパートを直接STEMに入れた方が良いです。

いわゆるトラディショナルなドラムパターンをインポートするより、変な電子音色などが入ったリズムパターンをインポートした方が面白いです。

https://accusonus.com/products/rhythmiq

https://youtube.com/watch?v=dBKuR0otxeI

Logic pro Drummer
Logic proを購入すると自動的についてくるDrummer機能です。
さまざまなAIドラマーが登録されており、得意ジャンルの演奏をしてくれます。
ドラマーごとに名前や得意ジャンルが設定されていて親しみが持てます。
あらかじめ決められたドラムパターンに対し、ボリューム・フィルインの頻度・リズムパターンの複雑さなどの設定を変更できます。
残念ながら、他のパートに反応した演奏はしてくれません。
とは言え、ドラムパターンのクオリティが高いので、デモトラックなどには十分使用可能です。

MIDI出力もできるので、位置の微調整や音色の差し替えも出来ます。
ただしそこまで手間をかけるなら、Spliceの良さげなループを使用した方が良いのでは・・・と思います。
このソフトは、手軽にそれっぽいドラムパターンが作れることが一番の魅力ですね。

https://support.apple.com/ja-jp/guide/logicpro/lgcpa4324884/mac

使ったことが無いけど気になるAIソフト

以下は検討したけど購入しなかったソフトです。
実際に使っていないので細かい部分までは分かりませんが、気になったので紹介します。
もし購入した人がいたら感想教えて下さい。

Algonaut ATLAS
AIがPC内のドラム音源をマッピングし、リズムトラックのキックやスネアなどの音色を入れ替えてくれるソフトです。
使用していくうちに、AIがユーザーの好みを学習し、リズムトラックに適したサンプルを使用してくれるようです。
リズムトラックは人間が用意する必要があります。
リズムパターンのサンプル音源や、生ドラムのレコーディング音源のアレンジに使用できそうな感じです。

リズムパターンの音色だけ変えたいと思うことが無いので、購入しませんでした。
何となくですが、普通のスネア・キックの音色をマッピングするより、ちょっと変な音をマッピングして、AIにしか作れない変なリズムパターンを作らせると面白そうな気がします。

https://algonaut.audio/

UJAM Virtual Drummer
AIが自動的にドラムパターンを作成してくれるソフトです。
ジャンルごとにソフトが分かれていて、ここではソウル・ファンク系のVirtual Drummer DEEPを紹介します。

Logic proのDrummerより音色や演奏のクオリティは良さそうで、レイドバックしたリズムや、メトリックモジュレーションを活用したフィルインなど現代的なドラミングにも対応しているようです。
ただし、残念ながら他のパートに反応してリズムパターンが作成されるわけでは無く、リズムパターンの年代や種類などを人間が設定する必要がありそうです。

こういうソフトでリアルさを追求していくと、例えばAIがChris Daveのような演奏を完璧に再現したとして、僕たちはテンションが上がるのか、という問題が出てきます。
現状だと、多少拙くても人間の演奏が好きな人の方が多いのでは無いでしょうか。
ただしそれはAIにキャラクター性が設定されていないからで、例えば音楽系のゲームやアニメとコラボして、その中のキャラクターがこういうソフトで超絶演奏をしたらテンションが上がりそうな気がします。
もしくはGorillazみたいなバンドをAIで組んだら面白そうです。

あとは他のパートに反応出来るようになってほしいですね。
誰かと一緒に演奏することで起きる化学反応は、音楽の大切な要素たと思います。
他のパートに反応し、自分で学習できるようになると、一気に魅力的なソフトになると思います。

https://www.miroc.co.jp/rock-on/ujam-virtual-drummer-deep/

Ableton Drumify
Magenta StudioというAbleton Live用機械学習ツールの一機能です。
特筆すべきは、他のパートの演奏に合わせたドラムパターンを作成してくれることで、下記の動画では様々な演奏に合わせてAIがドラムパターンを作成しています。
現状ではドラムパターンのクオリティはイマイチですが、この方向で進化していってほしいです。
こういうソフトのクオリティが一定のレベルを超えると、AIによるドラムソフトが一気に普及すると思います。

https://www.ableton.com/ja/blog/magenta-studio-free-ai-tools-ableton-live

その他

DrumBot
サイトのキーボードで演奏すると、AIが自動的にドラムパターンを作成してくれます。
面白サイトのようなものですね。
見つけたので一応紹介します。
なかなか上手くAIが反応してくれないので、試してみると案外面白いです。

https://drumbot.glitch.me/

AIが曲に応じた「音楽的にもっともらしい」ドラムパターンを生成する技術を、ソニーが研究しているようです
下記URLに詳細が記載されています。

https://japanese.engadget.com/jp-2019-08-06-ai.html

まだ商品化はされていないっぽいですね。
どのような研究か知りたいです。

最後に

色々なソフトを紹介しましたが、総じて言えるのは、現時点ではAIが全自動で完成系のリズムトラックを作成することは出来ず、人間による調整や精査が必要だということです。
そもそもネット上の情報が少なく、これから発展していく分野だと感じました。
AIとドラマーは対立するものとして扱われることがありますが、AIが進化するに従って、打ち込みと生ドラムのように自然と棲み分けがされていくと思います。
ここに紹介した以外にも、世の中にはさまざまなAIソフトがあると思いますので、ご存知の方は、是非とも教えて下さい。

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この記事を書いた人

名古屋市在住、30代後半のドラマーです。
高校生の頃にドラムを始め、就職して、結婚して、子供が生まれても、音楽への興味が尽きません。
最近はDAWでのトラック制作や、ブログの更新が主な趣味です。
コロナ禍が終わったら、仲間達とフェスにいきたいです。

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